9.乱れる気持ち☆乱れる気持ち☆2004.1(33歳) 2004年へと年が明けた。 劣等感で押しつぶされそうだった私は、あまり実家にも長居したくなかった。 親戚が集まれば子供の話になるだろうし、精神的にパーフェクトでなかったのでつまらない事に神経を使いたくなかった。 夫と二人で静かに過ごす事が、この時の私には一番落ち着く時間だった。 人工授精までは友達にも話す事ができた。 でも不妊を自覚し、次の体外受精にまで話が進むと誰とも関わりたくなくなった。 体外受精に対する私の気持ち・恐怖感というのは、私の背景と私個人の性格から生じるものなので それを他人に話したところで理解されるなんて微塵も考えなかったし、わかったような素振をされるのも癪に障る。 変に同情されて慰めなれるのも神経を逆撫でされる気がしてならなかったからだ。 ‘本当に辛い事は人に話せないものなんだ・・・’と痛感した。 一番の理解者、夫さえそばにいてくれればよかった。 他のものは皆、排除したかった。 1月20日に採卵日が決定した。 本当に怖かった。痛い事は恐ろしい。 7コ年下のKとは適度な距離感で真面目な話もしやすかったので、つい、採卵前日に弱気メールを出してしまった。 何の事か解らないであろう彼は、それでも一生懸命チカラになろうとメールで励ましてくれた。 そして夜、電話をくれた。 彼には『病気で手術的な治療』と伝えてあったので 「自分の為なのにそんなヘタレみたいな事言ってどーするんですか!?」 と言われた。 充分頑張っているのに、叱咤激励されると余計辛くなる・・・。 「実は病気じゃなくて体外受精なんだ」 と初めて夫以外の人に言った。 「じゃ、益々頑張らないと、じゃないですか!?」 また強く言われ、 「こんなに頑張っているのにオマエに何が解るんだ!」 と反論し、やっぱり他人に話す内容ではなかったのか・・・と後悔した。 でも 「何て言っていいのかわからないこっちの気持ちも解ってくれ・・・」 とまた反論されて、Kの気持ちもわかるので涙が出てきた。 本当に血の通った思いやりのあるいい子なんだ、Kは・・・。 ***** 10.採卵… へ続く ***** |